僕は発展途上技術者

骨髄バンクと純血主義


今日もまたプロジェクトXネタである。第81回 2月26日放送「決断 命の一滴」を見た。日本初の骨髄バンクを作るプロジェクトの物語だ。非常に感銘し、単純(?)な私は、自分も骨髄移植のドナーになって人の役に立ちたいと思った。


パソコンに向かいインターネットにつなげ、検索サイトで「骨髄バンク」を検索したら、すぐに財団法人骨髄移植推進財団を探しあてた。思い立ってすぐに目的の情報が得られるというのはインターネットの威力だ。インターネットがなかった頃だったら、番組を見て「ドナーになりたい」とちょっと思ったとしても、どうすればドナーになれるかという情報にたどりつくまでにその思いは消えてしまいかねない。例えば知人に白血病患者がいるといったよほどの強い動機があれば別だろうが。


ドナーの登録をするには、まず案内を送付してもらい、近くの保健所に連絡し採血してもらって、白血球の型を調べるのだそうだ。ところが案内の送付先は日本に限られているようだし、日本の保健所にだって在米の私じゃ行けない。そのあたりを聞いてみようにも連絡先はフリーダイアル(アメリカからは0120フリーダイアルにはかけられない)だし電子メールのコンタクト先が見つからない。どうやら日本に住んでいないと協力できないのかとあきらめかけていたら、アメリカの骨髄バンクNMDPのサイトを探しあてた。


アメリカに住んでいるんだからアメリカで協力できる。考えてみたら当然である。しかしそこで頭をよぎったのは、「私は日本人だから、日本の患者の役に立ちたい。別にアメリカ人の役に立ちたくない」という思いである。浅はかである。愚かな純血主義が私の中にもあるようだ。しかしすぐ、以前日本で勤めていた会社の、威勢の良い後輩の言葉を思い出した。狭い日本だけの視点で考えるのではなくグローバルな視点を持とうという意味で言ったと思うのだが、「我々は日本人ではない。地球人だ」という言葉。


日本人だろうが、アメリカ人だろうが関係ない。誰かの役に立てれば良いのである。それに調べてみたら、アメリカの骨髄バンクと日本の骨髄バンクは提携しているらしい。つまり、詳細はまだわからないけれども、きっと日本の患者が白血球の型がマッチするドナーをアメリカの骨髄バンクからも探せるということなのだろう。それに白血球の型は、似ている人種同士でマッチする確率が高いらしく、在米日本人はもとよりアメリカに住む多くのアジア系の人達の助けにだってなるかもしれないのだ。NMDP にドナー登録しよう、そう思った。


家族の了解を得るなどしなくてはいけないし、そんな軽く決断できるものではない。まだドナー登録をすると決まったわけではない。とりあえず NMDP のサイトを調べてドナー登録に向けた一歩を踏み出そう。


プロジェクトX


プロジェクトX を見た。面白いという噂を聞いていたので、日本にいた友人に頼んで録画してもらったビデオを送ってもらったのだ。噂通り面白い。


まとめて6話くらいビデオに収録されているうち、今日見たのは、第79回 2月12日放送「ゆけ チャンピイ 奇跡の犬」第80回 2月19日放送「突風平野 風車よ闘え!」だ。「チャンピイ~」は日本初の盲導犬の誕生物語、「突風平野~」は町を苦しめる突風を逆に利用して風力発電を成功させた山形県立川町の物語である。


すでに欧米では活躍していた盲導犬を日本で誕生させた。また、風力発電はアメリカではすでに盛んで、そのアメリカから巨大風車を輸入した。二話とも、すでに欧米にあったものを日本に取り入れて成功させたという点が共通している。そこに気付いたとき、少し寂しい気がしたが、この、欧米で成功しているものを日本で模倣するという手法は、インターネットなどで欧米の情報を得ることが格段に簡単となった現在でも、まだ十分通用しそうである。


実際、番組自体もこの手法を使っている。視聴者を感動させるための少々大袈裟なナレーションはアメリカのテレビ番組を連想させる。例えば、ソルトレイクオリンピックの放送で、競技の前に流れるアメリカ選手の生い立ちを伝えるミニドラマのナレーションのよう。タイトルの「プロジェクト」というのも、まさにアメリカンである。アメリカ人はこの「プロジェクト」という言葉を本当によく好んで使う。会社での仕事はもちろんのこと、週末おこなう庭の雑草取りだって、家の壁のペンキ塗りだって、掃除も洗濯も料理も、これ全部立派なプロジェクトなのである。


実際、番組自体もこの手法を使っている。視聴者を感動させるための少々大袈裟なナレーションはアメリカのテレビ番組を連想させる。例えば、ソルトレイクオリンピックの放送で、競技の前に流れるアメリカ選手の生い立ちを伝えるミニドラマのナレーションのよう。タイトルの「プロジェクト」というのも、まさにアメリカンである。アメリカ人はこの「プロジェクト」という言葉を本当によく好んで使う。会社での仕事はもちろんのこと、週末おこなう庭の雑草取りだって、家の壁のペンキ塗りだって、掃除も洗濯も料理も、これ全部立派なプロジェクトなのである。


トラック野郎


今月引越しをしたので、こちらの引越し事情について書こう。


引越しが面倒というのは日本でもアメリカでも一緒だが、こちらは金銭面のハードルが低い。日本で引越しをすると、敷金2・礼金2 に不動産屋に手数料1、そして最初の月の家賃と、合計すると家賃の約6ヶ月分近くぶっとんでいくのだろうが、こちらでは敷金1(安いところだと0.5とか)と最初の月の家賃だけというのが普通。アパートに引越しをする場合、普通直接管理人とやり取りをするので手数料はなし、そして礼金という仕組みはない。


また、引越しの作業も、自分で行って安上がりに済ますのが結構メジャーだ。まずはダンボールや紐を用意して荷造り。私たちは後述する U-Hall でいくつかダンボールや紐・ベッドやソファーを覆うカバーを買い、さらに近くのスーパーで余ったダンボールをもらってきた。スーパーで買い物をして店を出たときに、ダンボールをいっぱい持っているおばちゃんがいたので、妻が「どこで手に入れたの?」と聞いたところ、店で余ったやつをもらえるんだ、と教えてもらった。


トラックは U-Hall でレンタルする。これには最初驚く。「こんなトラック、俺が運転していいのかよ?」って。トラックの大きさによってレンタル料は違う。また走った距離に応じて料金が加算されるので、大きなトラックにすればレンタル料は高いが、少ない往復で済むため、加算される料金は少ないといった具合。しかしでかいトラックを運転できる自信がない私は迷わず一番小さいのを選ぶ。小さいとはいえ気分はトラック野郎である。不自然なほどののろのろ運転、後ろが全然見えないので誰かに後ろに立って見てもらわないとろくにバックもできないトラック野郎である。


家具など大きなものを運ぶのは友人に手伝ってもらう。これでトータル$100くらいで済んでしまうのである。


このように一回の引越しにかかる費用は大したことがないから、皆どんどん引越しする。特に春は多い。暖かくなってきたし気分一新ということなのだろう。もちろん今住んでいるところに満足している人はずっとそこに居るのだろうが、あそこのアパートは間取りがほぼ一緒なのに今住んでいるところより家賃が安い、だとか、今のアパートの管理人は怠慢で気に食わない、となるとすぐ移ってしまえるのである。乗り換えが容易だから、需要と供給の関係がきちんと働く。家賃を不当に高くすれば、住人は出ていってしまうし、新しい借り主は見つからない。妥当なところまで下げない限り、住人は見つからないのである。こうして、どのアパートも相応の家賃に落ち着く。これぞ資本主義である。



A-LOG


この日記は、以前 http://www.blogger.com 上で A-LOG という名前の BLOG で書いていたときのものです。




アメリカで生活していて、「おー!」と思ったこと、日本と違うなあと思ったことなどを書いていきたいと思う。タイトルの A-LOG は America Log、あるいは American Life Log を意図してつけた。Log とは日誌のこと。地域の新聞には Police Log なんてのがあり、前日起こった細かい事件までが一つ一つ書かれている。私たちはサンフランシスコ郊外の Walnut Creek というところに住んでいたのだが、そこはアメリカの中では非常にのどかで安全なところ。いかに安全かはこの Police Log を見ればわかるのだが、ある日の新聞の Log には、「家で怪しげな物音がするという通報。かけつけてみたらアライグマだった」だとか、「夜10時、アパートの前のゴルフ場でゴルフをしている人がいるという通報。急行するも誰もいなかった」といった事件しか載っていなかった。



プロフィール

株式会社まちクエスト代表、つくる社LLC代表。

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