naoya さんによれば、「便利すぎて鼻血が出ました」という Vagrant を触ってみて、僕も Git を最初に触った以来の衝撃を受けました。
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Vagrant - naoyaのはてなダイアリー開発者、それも gem で入れることから、Ruby を使う開発者の一部で話題になっているようなのですが、Vagrant はこれからプログラミングしようと思っている初心者や、開発環境を用意する必要があるデザイナーにこそ、強力なツールなんじゃないかと思っています。
Vagrant が便利に思えるひとつのケースとして、Windows の上に Linux の仮想マシンを用意する、というのが挙げられます。Web 業界にいると勘違いしてしまいそうになるのですが、世の中のほとんどの人は開発者も含めて Windows を使っているでしょう。そういう人が PHP や Ruby などを始めてみたいと思った時に、難関となるのが環境構築です。Mac や Linux 上に構築するのに比べて、Windows 上でそういったサーバー系の言語を使おうと思った時の環境構築は面倒です。
Vagrant を使えば、簡単に仮想マシンを Windows の上に用意できます。仮想マシンというのは文字通り、仮想なマシン、もう一台マシンが手に入るようなものです。
仮想マシンを作ることができるソフトウェアには、他にも VMWare など以前からありましたが、Vagrant が使う Virtual Box は無料である、という点が大きい。そして仮想マシンの大きな特徴として、マシン1台全体が一つのファイルなので、そのファイルをやりとりすることで、環境まるごと一つを他の人に渡したりできるという点が挙げられます。
今回 Linux の仮想マシンを用意するのですが、その仮想マシンに PHP や Ruby を用意するほうが Windows にそれらを用意するよりも楽ですし、もっと言えば、PHP や Ruby が最初から使える状態になったマシンを用意することもできるのです。
前置きが長くなってしまいました。Windows 上に Vagrant をインストールして Linux の仮想マシンを一つ用意するところまでの手順を紹介します。
普段は Mac を使っているのですが、家にあるおんぼろ PC の Windows XP にインストールしてみました。
Virtual Box のインストール
Vagrant は仮想マシンをコマンドで簡単に用意できるツールですが、実際に仮想マシンを作るのは Virtual Box というソフトウェアです。
Virtual Box の Downloads ページより Windows 版をダウンロードしてインストールします。

インストールの際はデフォルトの設定で、「次へ」を押し続けました。
Vagrant のインストール
次に Vagrant をインストールします。
Vagrant Downloads のページより最新(2013/3/15時点)の 1.1.0 を選び、Windows 版である Vagrant.msi をダウンロードして、インストールします。

これも特に気にすることなく、デフォルト設定でインストールします。
GitHub for Windows のインストール
あとで Vagrant で仮想マシンを用意したあと、そのマシンにログインするために ssh というツールを使うことになるのですが、Windows にはこの ssh が始めから用意されていません。Windows 上の ssh はいくつかあるのですが、どうせ後々使うことになって便利だと思うので GitHub for Windows をインストールします。GitHub for Windows は GitHub を Windows から使えるようにするアプリケーションですが、ssh も含まれているのです。
GitHub for Windows のページよりダウンロード、インストールします。

環境変数の設定
つまづくとしたらたぶんここのステップだと思います。と言っても注意深くタイプすれば大丈夫です。
[スタート] > [コントロールパネル] > [システム] > [詳細設定] > [環境変数]
を選び、下側のシステム環境変数の中から変数名が Path となっているところをダブルクリック、値の最後が c:¥vagrant¥vagrant¥bin となっていることを確認した上で、そのあとに
;$VBOX_INSTALL_PATH
を追加します。

このキャプチャの通りになっていたら OK です。
仮想マシンを起動
いよいよ最後のステップです。
最後は次々 Vagrant のコマンドを入力していって、仮想マシンを起動します。
コマンドの入力は Windows のコマンドプロンプトを使うのではなく、さきほど GitHub for Windows をインストールしたときに一緒に用意された Git Shell を使います。

デスクトップ上にある Git Shell をダブルクリックして起動します。
Vagrant がちゃんとインストールされているかを確認してみましょう。
vagrant -v
と入力してバージョン番号が表示されていれば OK です。

次に起動する仮想マシンのイメージをダウンロードして Vagrant に登録します。仮想マシンのイメージは .box という拡張子がついたファイルで、例えば
http://www.vagrantbox.es/ には、いろいろな種類の OS のイメージファイルが用意されています。
このうち、今回は Ubuntu lucid 32 を起動してみます。
vagrant box add lucid32 http://files.vagrantup.com/lucid32.box
と入力します。http://files.vagrantup.com/lucid32.box という .box ファイルを lucid32 という名前で登録する、という意味です。
ファイルは数百メガバイトのサイズなので、ダウンロードに少し時間がかかります。
次に、
vagrant init lucid32
を実行して lucid32 を初期化します。初期化すると Vagrantfile というファイルが作成され、各種設定が書き込まれています。この Vagrantfile があるフォルダ上で実行しないと以降のコマンドは効きません。
いよいよ仮想マシンの起動です。
vagrant up
を実行します。このとき、以下のような警告がでたら、「ブロックを解除する」を選びます。

仮想マシンが起動したら、
vagrant ssh
でログインします。
以下、無事ログインできたところです。
Welcome to Ubuntu! と表示されています。

どうでしょうか?
.box ファイルをダウンロードするところは少し時間がかかるかもしれませんが、全体では比較的少ない手順なので、楽に Linux 環境まるごと一つ用意できるのではないでしょうか。
Vagrant の他のコマンドについては
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Vagrantで簡単仮想マシン構築 \| Ryuzee.comが参考になります。
起動した仮想マシンを止めるコマンドは、
vagrant halt
です。
Vagrant は他にもいろいろな使い道がありそうです。これから機会があれば順次紹介していきたいと思います。