三鷹のオシャレカフェ
「Cafe Hi famiglia」でおこなわれた
「ADE Cafe」に参加してきました。
主催されている堀井清毅先生がいらっしゃる西町インターナショナルスクールで以前おこなわれた
スクラッチ x iPad ワークショップをお手伝いしたのがご縁で今回招待されたのですが、場所がいつも
プログラマーズカフェで利用していた「Cafe Hi famiglia」でびっくり。
それはまあ良いとして、ADE Cafe および ADE とは何かと言いますと、上記 ADE Cafe のサイトによれば、
ADE Cafeは、ADEと保護者を結ぶコミュニティーです。このコミュニティーの形成のため、誰もがリラックスして食事をしながら意見を共有できるアットホームな雰囲気を持つイベントを開催します。
Apple Distinguished Educators(ADE)は、Appleのテクノロジーを教室の内外で利用してすばらしい実績を上げている、教育界のリーダーたちによるグローバルコミュニティです。
とあります。
今回のテーマは「おうちでもできるAppleの革新的な教育」とのことで、Apple Store の協力で iPad も数台展示されており、発表もどのような iPad アプリをインターナショナルスクールの授業で使っているか、あるいは自宅で使っているかといった内容が続きます。
Apple がこうした活動を支援していることは良い事だと思いますし、僕自身は iPhone/iPad は各世代ほぼそろっている上に MacBook Air に Mac mini と家中 Apple 製品だらけで Apple 信者と言ってもおかしくないほど。紹介されていたアプリも興味深いものが色々ありました。
ですが、以前からの僕の考えは変わらず、「まだ iPad はこどもにオススメできるレベルには到達していない、Mac でも Windows でもよいので PC を使わせるべき」です。
なぜなら、iPad(iPhoneも含みます)を使ってできることというのは、まだまだインプット主体の活動だからです。YouTubeの動画を観る、音楽を聴く、検索して調べ物をする、ゲームで遊ぶ、これらはすべてインプットです。PC のキーボードに比べるとまだまだ使い勝手が良いとはいえないiPad のキーボードでは、どうしてもアウトプットの活動に制限がかかってしまいます。使い勝手が良いアプリがそろそろ揃ってきたのかもしれないのですが、とはいえ、絵を描いたり、動画を編集したり、作曲したりといった作業をするにはやはり PC のほうが向いています。
いやいや、ちゃんと使えるアプリを揃えれば、十分アウトプットの活動ができますよ、という反論もあることでしょう。しかしこれはどうでしょうか?「iPad では iPad のアプリを作ることができないが、PC なら PC で動くアプリを作ることができる」、言い換えると「自分が使うあるいは遊ぶものを自分で作ることができない」というのは致命的です。
僕はここがクリアされない限り、iPad や iPhone は、とっても便利なスーパーテレビ + α に過ぎず、もはやアウトプットすることをあきらめ、情報を取り込むのに専念することにした大人向けであって、こどもや若い人にはまだ適さないと思っています。
各発表の感想を書こうと思っていたのに、なんだかつい「iPad は教育にはまだ向かない」話にむきになってしまいました。念のため書いておくと iPhone/iPad は素晴らしい製品だと思っていますよ。iPhone なしの生活なんて考えられませんし、iPad は Kindle で本を読んだり、漫画を読んだり、Hulu で映画を観るのには最適なデバイスです。
Facetime スピーチ: 大阪女学院大学学長 加藤映子教授
こどもたちが自分たちで絵本を作る活動を紹介されていました。PC以前の時代では、絵本は専ら与えられて読むだけのもの。それが今なら、やり方を工夫してちょっと頑張ればプロダクションレベルのものを自分たちで作れてしまいます。絵本に限らず、写真を撮ったり、動画を作ったり、作曲したりといったことも同じだと思います。作る側にまわってはじめて製作者の努力だったり、工夫しているところなどにも気づくのだと思います。
オープニングスピーチ: 西町インターナショナルスクール 堀井清毅
こどもたちがブログを書くことをすすめていらっしゃって、全面的に同意しました。Facebook や Twitter では文章構成力は身につかないという点も納得。まるで自分が言われているようで、「僕もブログをもっと書かないと」と思いました。(だからこのエントリーも久しぶりに書きました)
アウトプットすることが大事ですね。絵本を作るという話もそうなのですが、これって別にこどもだけに限らない話で本当は大人もやるべきだよね、と聞きながら思っていました。
プレゼンター:横浜インターナショナルスクール Mike Mural先生(通訳あり)
横浜インターナショナルスクールでの授業風景や実際に使っているアプリの紹介。横浜インターナショナルスクールには、以前 Barcamp という IT 系のイベントが行われたときに
行ったことがあるのですが、そのときと変わらないどころかますます、インターナショナルスクールと公立校の差をまざまざと見せつけられました。その差って授業料の差なのでしょうか?ITの力を利用すれば、コストを最小限にして、レベルの高い教育を誰にでも与えることができる、というのは空虚な理想論なのかなあと、モヤモヤしっぱなしでした。
プレゼンター:福島県立平養護学校 稲田健実先生
特別支援教育で使用されている支援機器のひとつ、VOCA(音声表出意思伝達補助装置)を例に、「道具はあるだけでは意味がなくて、それをどう使うかが大事」ということを考えさせられた発表でした。散々冒頭で iPad を dis ってしまいましたが、要は使いようなわけで、アウトプットが苦手なデバイスならば、アウトプットに適したデバイスなどと組み合わせればいいのです。
プレゼンター:主婦ブロガー 神谷加代さん
その iPad は使いよう、ということを色々なアプリと実際に家でどう使っているかとを合わせて発表してくださったのが次のプレゼンでした。辞書アプリで調べた単語を、Google の画像検索で調べて、画像や写真が少ない辞書を補完する形で使っている例は目からウロコでした。そしてないものは自分たちで作ってしまえ、ということで、両親のメールに送信できる
「ただいま」というアプリと、音読の記録ができる
「おんどく」というアプリを実際に作ってしまうところがすごい。
プレゼンター:教育×ICT「ママプリ」アドバイザー 関島章江さん
ICT 教育を一回限りとかで終わってしまうワークショップのような形でなく、継続してこどもたちに受けさせるためにはどうしたらいいでしょう?と問題提起を投げかける内容のプレゼンでした。
小中学生にプログラミングを教える
CoderDojo Tokyoという活動を行なっているのですが、一年間続けてきてまさに同じような悩みというかひっかかりを感じていたので、プレゼンのあとに少しお話させていただきました。
「民間の学童で教えてみてはどうか?」というアドバイスをいただき、なるほどと感じたので、その線でトライしてみようと思っています。
おわりに
プレゼンと歓談の時間が交互に配置されていて、とてもオーガナイズドされていたイベントでした。第2回目があったらぜひまた参加したいと思います。
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