小さな遊園地
pixieland という遊園地が家から車で20分ほどの所にある。電車・車・飛行機の乗り物、メリーゴーランドに子供向けのジェットコースターなど合計で乗り物が10に満たないくらいとても小さな遊園地だが、息子はここの大ファンだ。お目当ては電車の乗り物とそれを運転するエンジニア・ジムというおじいさん。このエンジニア・ジム、似顔絵付きのTシャツやマグカップが遊園地で売られているほどの名物キャラクター。切符を切るときにくすぐってきたり、子供一人一人に話し掛けるなどサービス精神を忘れない。不思議なのは、そういうときジムはこぼれるほどの満面の笑顔、といった顔をしていない。「この人本当に楽しんでやっているのかな」と大人だと一瞬勘ぐりたくなる、どっちかというと感情を察することができない顔をしているのだが、しかしそこがなぜか子供達のつぼにはまるようだ。日本語の「出発進行!」にあたる "All aboard!" をエンジニア・ジムの口真似で、息子はいつも真似している。
この遊園地ではよくお誕生日パーティーが開かれている。パーティーに参加している子達の手にはスタンプが押されており、乗り物1日中乗り放題だ。子供達は本当に楽しそう。お誕生日パーティーに開放するというシステム、面白いなあと思う。
最初にこの遊園地に来たときに、アメリカならではだなあ、と強烈に思ったことがある。電車の乗り物は一般道路の横を通るようになっているのだが、その道路を一般車が通るとき、エンジニア・ジムが警笛を鳴らす。すると、たいていの車はクラクションを返してくれる。アメリカ人の乗りの良さに、どっちかと言うとあまり乗りの悪い僕は、引いてしまうことが多いのだが、子供に対する乗りの良さは微笑ましい。電車の乗り物が出発するとき、見知らぬ大人も子供も決まって手を振ってくれて、息子もうれしそうに手を振り返す。
この前日本に一時帰国したとき、これと同じ子供に対する乗りの良さ、サービス精神が感じられたのは、東京ディズニーシーに行った時だった。乗り物が出発するときに係員の人が「いってらっしゃい」と言いながら手を振っていた。ディズニーランドやディズニーシーでシステムとして取り入れらているエンターテイメントの精神は、アメリカではこうした小さな遊園地にも見られる。と言うよりもむしろこうした小さな遊園地で育まれたエンターテイメントの精神がディズニーランドといったテーマパークに結晶したのだと言った方が正しいのかもしれない。
2004/02/23 09:00:00