Connecting the Dots - OtOMO編
このエントリは以下の2つにわけました。
Connecting the Dotsは、スティーブ・ジョブスがスタンフォード大学の2005年の卒業式でおこなったスピーチの中に出てくる有名な格言です。
You can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.
「未来をみこして点をつなぐことはできない。未来になってから過去をさかのぼってでしかそれらをつなぐことはできない。だから、われわれにできることは、未来になってからそれらの点がつながるということを信じることしかない」ということなのですが、目の前のことを、これは役に立つだろうか?自分にとって得なのだろうか?と考えるよりも、やりたいこと好きなことを一生懸命やれば、それが未来につながる、ということを教えてくれる言葉です。
2005年から遡ること約35年、パーソナル・コンピューターの父と言われるアラン・ケイはゼロックス社のパロアルト研究所の設立に参加、彼が提唱する理想端末「ダイナブック」を当時の技術で実現したAltoの上で、ユーザーが自らプログラミングできるSmaltalk環境を動作させてみせた。これを見学する機会を得たスティーブ・ジョブスがそのアイデアを取り入れ、LisaおよびMacintoshを開発したと言われている。
アラン・ケイが開発したSmaltalkを使ってシステム開発の仕事を手がけていた阿部和広氏は、2001年来日したアラン・ケイと出会い、「Smaltalkがこどものために教育のために生まれてきた」ということを知ります。以来教育の道を歩み、アラン・ケイがプロジェクトマネージャーの一人を務めていた2002年、2003年の未踏プロジェクトに参加、 アラン・ケイが手がけていた教育用のSmaltalk環境であるSqueak、およびその考えを引き継ぐScratchの日本での普及に大きく貢献します。阿部氏の活動の中のひとつに、当時月一でおこなわれていたOtOMOでのプログラミングワークショップがありました。
- パーソナルコンピュータ「Dynabook」は誰のために作られた?──アラン・ケイが言いたかったこと(阿部和広氏に聞く:前編)
- 「目的を言うと、理想はダメになる」──プログラミング教育で大切なこと(阿部和広氏に聞く:後編)
スティーブ・ジョブスのiPhoneの発表に衝撃を受け、発売当初はアメリカでしか発売されていなかった初代iPhoneを手に入れた僕は、ついに日本にも上陸し、開発者がアプリを作れるようになったiPhone 3Gで何かアプリを作りたいと思っていました。ひらがなを覚え始めた長男でも楽しめるアプリということで、ひらがなで単語を作って楽しめる「かなぶん」というアプリを開発してリリースします。
2010年iPadがリリースされ、さらに知育アプリを開発しようと考えていた僕は、初台のアップルセミナールームにておこなわれた、iPadをどう教育に活かすかを考える「iのある教育と学習」というセミナーに出席します。登壇者の一人、阿部和広氏が披露したのは「iPadはDynabookの夢を見るか」というプレゼンテーションで、そこではエンドユーザーのプログラミングを禁じたiPadに対する、こどもたちが自由にプログラミングできるOLPC + Scratchというもうひとつのプログラミング教育の形を示していました。
Apple Japan本社のセミナールームでiPad完全否定というこの話に衝撃を受けた僕は、即日3万円ほどのミニノートPCのEee PCを購入し、Scratchをインストールして自分のこどもたちにプログラミングを教え始めた。「かなぶん」以降、エンドユーザーがプログラミングできない知育アプリを作ることはなくなります。
その年の5月、「かなぶん」のデザインを手がけた前田製作所が「かなぶん」含めたいくつかのプロダクトを展示するということで、MTM05(Maker Faire の前身)を見に行った。そこでScratchのワークショップをおこなっていたのが、倉本大資氏が立ち上げたOtOMOで、阿部和広氏もファシリテーターの一人としてこどもたちにScratchを教えていました。
2011年3月、東日本大震災が東北を襲ったその約2週間後、僕はこどもたちを連れて三軒茶屋でおこなわれたOtOMOのワークショップに参加します。定例ワークショップでおこなわれたのは、阿部和広氏がファシリテートする「じぶんクエスト」でした。
2017/11/07 09:00:00