小さなリスクを取ることのすすめ
日本ではいままでオオカミは悪とされてきて、ヒツジが善だった。つい20年くらい前までは転職しようとすると「1つの企業に定年まで勤めるのが人間としての道だ」みたいにいうジジイがいましたが、最近では田舎しかいないだろう。まだ牧畜が盛んだったときはヒツジも大事にされたわけですが、いまや化繊(ITとかロボットの人工物)がメインになって羊毛のニーズが激減したと考えれば分かる。これからはオオカミの意識を持たないと最後は屠殺処分が待っているわけです。
突然雇い止めされた派遣社員がその前にやっとくべきだったこと(永江一石)
本当にその通りだと思うのだが、でも、日本人の国民性なのか、長く治安が良く平和な社会で生きてきたからなのか、多くの人はリスクを取ることに慣れていないと思う。
僕も、今は独立してフリーランスで生きていくという、普通の人よりもだいぶリスクのあるライフスタイルを選んでいるが、性格的にはどちらかというとヒツジタイプだと思っている。
大学までは、決まったレールに乗ったままエスカレーター式に進学していく道を選んだ。学生時代は先生の言うことを素直にそのまま聞くタイプだったし、学校で定めたルールをちょっとでも破るなんてことは思いもしなかった。誰かに怒られたりするのが嫌だなあという思いから、アルバイトは家庭教師以外はほとんどやらなかった。
でも、そんな僕がどうしてリスク耐性を身につけることができたのか思い返してみると、1) 環境を変える 2) 小さなリスクを取り続ける の2つが重要だったんじゃないかと考えている。
環境を変えるでいえば、4年間アメリカに移住し働いたという経験が大きく、ボケっとしていたら生きていけいないアメリカ生活に順応していくには、感覚的には3割増しくらいでアグレッシブにオオカミ側に行動や性格を切り替えていたと思う。
小さなリスクについては、いくつかエピソードがある。僕らが学生の頃はスキーに行くのがはやっていて、僕も良く行っていたのだが、皆が行く広いゲレンデを滑るのに飽きて、深雪が残るコース外や林の中を滑るのを楽しんだりしていた。あるいは、社会人になり、勤務時間中は作業服に着替えるという職場だったのだが、どうせ着替えるのだからスーツを着ないで私服で出勤してみたり、インドネシアに旅行したときは、あえて安宿に泊まったりしてみたり。どれも本当に大したリスクではないのだが、小さなリスクを取り続けることで、いつしかリスクに慣れていったように思う。
環境を変える、は効果は大きいがなかなか誰にでもできる簡単なことではないかもしれない。
一方、小さなリスクを取り続ける、というのは意外と簡単にできて、すぐにでも始められるのではないだろうか。知らない人に話しかけてみる、ちょっと空気を読んでない発言をしてみる、普段読まない本を読んでみる、などなど。
2017/12/21 11:43:05