「超」英語法
著者の野口悠紀雄は大学教授というえらい地位にあり、そして年齢は60を越えているにも関わらず、まだ英語を、そして新しいことを勉強しようというその姿勢にはおそれいる。僕が尊敬する人のうちの一人だ。
英語を聴く能力がものすごく重要だということを非常に明確な論理で説いている。会話の中で、ネイティブの言った言葉を聴きとり、それをおうむ返しで使うことによって会話を成立させるテクニックには「なるほど」と感じた。
他の英語勉強方法については、よく考えれば自分がおこなってきたことと同じなのだけれど、「この方法で良かったんだ」と再確認させてくれることにより、同じ勉強方法もより効率が良くなる。「この方法で正しいんだろうか」というもやもや感をサッと取り去ってくれた。
その再確認された点をいくつか挙げると、
英語は丸暗記法で勉強せよ
高校のときに、駿台予備校が出版する「英文700選」という重要例文が並んだ参考書を使い、友達と10個ずつ覚えてはそらんじて書き出すテストをした。そして、間違いが少ない方が100円もらえる、というようにしたのだ。この「人と競う」という要素を入れると何か目標を達成したいというときに有効だと思う。TOEIC や TOEFL といったテストを目標に勉強するというのも、この「競う」要素の一種だろう。
英語の勉強は楽しい
単語帳や重要単語を並べただけの参考書はこの本では否定されているけれども、僕は基礎作りとしては避けて通れない道だと思っている。例文を覚えるという作業と合わせてこの部分は一種の修行だ。スポーツの筋トレのようなもの。その後は英文がわかるようになり楽しくなってくる。知らない世界が開ける感じだ。まだ日本語訳されていない洋書を読む、あるいは日本でまだ公開されていない映画を観る、というのがそういった楽しみの一部である。
会話ではネイティブの相手が言ったことを利用する
あるときから会話がとたんに簡単になった僕のテクニック。まず、「もう一度言って下さい」「ゆっくり言って下さい」というフレーズを覚える。教科書には I beg your pardon? とか Could you speak more slowly? なんて書いてあるが、ネイティブが聴き返すときに Sorry? としか言っていないのを聴いて以後は、聴き返すときは Sorry? 、それでも分からないときは、In other words?
とか More slowly, please? とだけ。それで充分通じる。
また、相手が言ったことの一部だけわからなかったときには、その部分を名詞でも動詞でも何でも単に What に置き換え、あとはおうむ返しに、そして語尾を上げて聞く。例えば I have a pen の pen が聞き取れなかったとしたら、「持っている”もの”が聞き取れなかったのだから What で聞いて、you だから does じゃなくて do を使うんだろう」というように頭の中で英文法を一生懸命思い出し、疑問文を構築して、 What do you have? と聞くよりも You have what? と聞く方がよっぽど簡単だ。
英語力と言ってもいろいろな種類がある
http://d.hatena.ne.jp/jishiha/20030523#p1
でも書いたことだけれど、英語力には「仕事のための英語力」とか「原書を読むための英語力」、「映画を字幕なしで理解するための英語力」のようにいろいろな種類があり、それぞれ勉強方法が違う。どれが自分が必要としている英語力なのかを見極めて、それにあった勉強方法を取らなければならない。アメリカ生活は5年目だが、やっぱりいまだに映画を字幕なしで理解できないけれどもう落ち込むことはない。(と言いたいところだが、やっぱり少し落ち込む)
2004/05/06 09:00:00