ジブリの仕事のやりかた
(void GraphicWizardsLair( void );より)
日本人は細部にこだわる、という点、納得です。今日領事館に行って、二人目の子供の日本側の出生届を出しにいったら、係の人に「本籍のここの部分(○丁目の後の部分)、○番かそれとも○番地か正確にお願いします」と言われた。約4年半のアメリカ生活で、アメリカ人化した僕の一部分は、「そんなのどっちだっていいだろう」と叫んでいた。
けれども、まだ残っている僕の日本人の部分のおかげで、けっこう大雑把な僕でも、会社ではソフトウェアをテストしバグを指摘する Quality Assurance という仕事でまあまあ重宝されている。「会社の中ではお前が The Best of QA(Quality Assurance) Engineer だ」と言われたこともあるが、内心では「日本にいる日本人はもっと細かいけどね」と思っていた。
雑に言ってしまえば、
日本人は部分から全体にいき、
西洋人は全体から部分にくる、
という……たしかに、
宮崎駿が作った美術館の設計もそうです。
この部分も納得。アメリカ人は特にコンセプトだとかプランだとかを作るのが本当にうまい。そこで、僕が一緒に働いたことのある人達を思い浮かべながら、最高のソフトウェア開発チームを考えてみた。
- コンセプト作りや仕様の作成 - こういうことが大得意なアメリカ人。
- ソフトウェアのエンジン部分のデザイン - 理論派、数学が得意なロシア人。数学オリンピックでは常に上位。空き時間にやるPCのゲームはチェス。昼休みも食堂でリアルチェス。
- GUIのデザイン - アートなフランス人。例えばAWStatsの開発者はフランス人。
- 実際のプログラミング - インド人。安いし速い。
- Quality Assurance(品質管理、ソフトウェアのテスト)- 間違いなくどこの国の人よりもバグを多く発見してくれる細かな日本人。
ところで、
宮崎駿が作った美術館の設計もそうです。
あれもいろいろな部屋があるんですが、
彼が最初に作ったのは
「少年の部屋」というところなんです。
「この部屋には、部屋にいっぱい絵を貼ろう」
と、そこだけを作ってしまうんですね。
全体のことは何も考えていないし、
できあがったら、じゃあ次は
どういう部屋にしようと、どんどん次に行く……。
という部分で、San Jose にあるWinchester Mistery Houseを思い出した。ライフルで有名な Winchester 氏に先立たれた未亡人が呪いをはらうために自分の家を死ぬまで増築し続けたという、部屋の数が160にもなる摩訶不思議なヴィクトリア様式のお屋敷だ。妻の評価はいまいちだったのだが、僕はなぜか結構気に入って今でも印象に残っている。
2004/07/16 09:00:00